調査の要点
医薬品業界の上場8社(医療用医薬品・大衆薬(OTC)・健康食品のメーカー)の有価証券報告書(以下、有報)を1社ずつ確認しました。広告宣伝費の金額を開示していたのは8社です。このうち、広告費と売上を同じ連結基準で比較できる7社を集計しました。売上に対する広告費は、中央値で4.84%。粗利(売上総利益)に対しては8.3%です。医薬品業界の中央値(4.84%)は、上場企業全体の中央値2.10%と比べて高い水準です。
中央値(7社/上場企業全体1,129社は2.10%)
中央値(7社)
同じ8社の前期合計比 -0.5%
金額は会社全体の広告宣伝費です。他の事業の比重が大きい会社は、その事業分も含まれます。
広告宣伝費とは別に、販売促進費を分けて開示している会社が6社あります(合計4,519億円)。金額が最も大きいのは第一三共で、販売促進費は4,392億円です。広告宣伝費は3,404億円(連結・販売促進費を含む科目)です。広告宣伝費と販売促進費のどちらに計上するかは、会社ごとに異なります。
※ 上の3,952億円は、対象8社の合計です。上場企業に限った金額で、業界全体の広告費ではありません。
会社ごとの数字とランキングは、資料(Excel)にまとめています。
全8社の比較表とランキングを受け取る(無料)会社ごとの数字・ランキング・自社の目安シートが入ったExcelを、法人の方にお送りします。
同じ医薬品業界でも、事業タイプによって広告費の比率は変わります。大衆薬・健康食品が売上の8.15%、医療用医薬品は4.78%です。粗利に対しては大衆薬・健康食品が15.9%、医療用医薬品が8.3%と、粗利で見ても差があります。自社の目安を考えるときは、業界全体の中央値(4.84%)ではなく、自社に近い事業タイプの数字を参考にしてください。
| 事業タイプ | 会社数 | 割合を出せる会社 | 広告費 ÷ 売上 | 広告費 ÷ 粗利 | 粗利率 | 金額の幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 医療用医薬品 | 5社 | 4社 | 4.78% | 8.3% | 57.4% | 22.5億円〜3,404億円 |
| 大衆薬・健康食品 | 3社 | 3社 | 8.15% | 15.9% | 51.1% | 4.4億円〜135億円 |
表1:事業タイプ別の広告宣伝費(中央値)/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
比率と粗利率は中央値です。金額の幅は、比率を算出できる会社の最小〜最大です。該当が1〜2社の事業タイプは、中央値ではなく各社の数値がそのまま反映されます。比率は費用と売上をいずれも連結基準で算出しています。基準の異なる会社は比率の集計から除外し、金額の合計には含めています。
自社と近い規模・タイプの会社の数字を、Excelで確認できます。
自社の広告費の目安が出るExcelを受け取る(無料)同じ8社を、売上規模・上場市場・記載の有無で整理しました。自社に近い条件の行をご覧ください。
| 区分 | 会社数 | 広告宣伝費を開示 | 売上高広告費比率 | 広告費/売上総利益 | 広告宣伝費の合計 | 売上の伸び(3年) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1,000億円以上 | 5社 | 5社 | 4.84% | 8.3% | 3,917億円 | +1.5% |
| 100億円〜1,000億円 | 2社 | 2社 | 3.48%(1社) | 7.2%(1社) | 28.9億円 | +6.5% |
| 100億円未満 | 1社 | 1社 | 10.22%(1社) | 18.8%(1社) | 6.5億円 | +8.3% |
売上規模で区分しています。分母が変わるため、同じ金額でも比率の見え方は変わります。比率は、広告宣伝費を開示していて同じ基準で算出できる会社の中央値です。
| 区分 | 会社数 | 広告宣伝費を開示 | 売上高広告費比率 | 広告費/売上総利益 | 広告宣伝費の合計 | 売上の伸び(3年) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| プライム | 7社 | 7社 | 6.49% | 12.1% | 3,948億円 | +3.7% |
| スタンダード | 1社 | 1社 | 3.48%(1社) | 7.2%(1社) | 4.4億円 | +3.8% |
上場市場ごとの中央値です。会社数が少ない区分は、1〜2社の数値がそのまま反映されます。
表2:売上規模・上場市場別に見た広告宣伝費/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)。比率は、広告宣伝費と同じ基準の売上高で算出できる会社の中央値です(単体のみ開示の会社は除いています)。
自社に近い会社を1社ずつ確かめられます。売上高の大きい順です。会社名から、その会社の有価証券報告書(PDF)をご覧いただけます。
| 会社名 | 事業タイプ | 売上高 | 広告宣伝費 | 売上比 | 事業の内容 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第一三共 | 医療用医薬品 | 2兆1,230億円 | 3,404億円販促込み | 16.03% | 医療用医薬品(海外が大きい) |
| 住友ファーマ | 医療用医薬品 | 4,533億円 | 214億円販促込み | 4.72% | 医療用医薬品(北米が大きい) |
| 参天製薬 | 医療用医薬品 | 2,916億円 | 141億円販促込み | 4.84% | 眼科の医薬品 |
| 小林製薬 | 大衆薬・健康食品 | 1,657億円 | 135億円 | 8.15% | 大衆薬と日用品(ヘルスケアが売上の半分強) |
| 杏林製薬 | 医療用医薬品 | 1,263億円 | 22.5億円 | 1.78% | 医療用医薬品(呼吸器・耳鼻科など) |
| ゼリア新薬工業 | 医療用医薬品 | 356億円(単体) | 24.5億円 | 6.87%単体 | 医療用医薬品が売上の69%。ほかに大衆薬・健康食品 |
| 森下仁丹 | 大衆薬・健康食品 | 127億円 | 4.4億円 | 3.48% | 受託製造など法人向けが売上の63%。一般向けの健康食品・医薬品は37% |
| 大幸薬品 | 大衆薬・健康食品 | 64.0億円 | 6.5億円 | 10.22% | 正露丸などの医薬品が売上の90%。ほかに感染対策の製品 |
表3:上場8社の広告宣伝費一覧/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
「単体」は、広告宣伝費を提出会社(単体)だけで開示している会社です。売上高・売上比とも単体の数値です。「販促込み」は、広告宣伝費と販売促進費を合わせて開示している会社です(IFRSの「広告宣伝費及び販売促進費」など)。売上比は、表示している金額(四捨五入後)ではなく、有価証券報告書の元の金額から計算しています。会社ごとの細かい数字は資料にまとめています。
集客手段は、有価証券報告書の本文に記載があるかどうかで集計しました。下のグラフは、8社のうち何社がその言葉を記載していたかを示しています。最も多いのはEC・通販で7社。MR・医療機関向けは5社、薬局・ドラッグストアは5社でした。ただし有報は投資家に向けた書類です。日々の施策までは書かれないことがあります。
表4:有価証券報告書の本文に記載があった会社の数/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
分母は8社です。記載がない会社でも、その手段を実施している場合があります。ページに掲載していない項目と、43のマーケティング手法の集計結果は資料に収録しています。
同じ8社を売上の伸び(3年の年平均)で並べ、伸びが大きい3社と小さい3社で、広告投資の動きを比べました。
売上に対する広告費の比率は、伸びが大きいグループが13.13%、小さいグループが4.84%でした。前年からの増減で見ると、伸びが大きいグループが-1.4%、小さいグループが+6.1%です。
| グループ | 売上の伸び | 広告費 ÷ 売上 | 広告費 ÷ 粗利 | 広告費の前年比 | 広告宣伝費を開示 |
|---|---|---|---|---|---|
| 伸びが大きい3社 | +9.2% | 13.13% | 21.1% | -1.4% | 3社 |
| 伸びが小さい3社 | -0.1% | 4.84% | 8.3% | +6.1% | 3社 |
今回の対象では、広告費を減らした会社のほうが、売上の伸びは大きくなっていました。3年の伸びを計算できる会社で比べると、増やした4社は年平均+2.6%、減らした4社は+6.5%です。社数が少なく、広告費の増減と売上の伸びの関係について、傾向とまでは言えません。
表5:売上の伸びが大きい会社と小さい会社の比較/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
グループは売上の伸びだけで分けています。会社の優劣を示すものではありません。広告宣伝費を開示しているかどうかは問いません。売上の伸びは各3社の中央値、売上に対する割合と粗利に対する割合は、同じ基準で比べられる2社/3社、広告費の前年比は3社/3社の中央値です。
有価証券報告書の本文から、集客に関する記載を2社分引用します。広告が売上を伸ばした根拠ではありません。
(感染管理事業) 感染管理事業につきましては、国内のインフルエンザ流行時期にあわせてWEBでの広告を強化する等、効果的なマーケティング費用の投下等コストコントロールに努め、収益性の改善に取り組んでまいりました。
利益につきましては、広告宣伝費等の先行投資や物流構造改革への対応により、累計では損失を計上いたしましたが、これらは将来の収益基盤再構築に向けた取り組みの一環であり、持続的な成長を見据えた投資と位置付けております。
広告費の増減を社内で検討するとき、代理店や取引先と予算を相談するときにお使いください。自社の数値を入力すると、同じ事業タイプの上場企業の中央値と比べた位置が表示されます。金額は万円単位で入力してください(5億円なら 50000)。入力内容はブラウザ内でのみ計算し、外部には送信されません。
目安は、同じ事業タイプの上場企業の中央値に自社の売上高・粗利をかけた金額です。適正な広告費ではなく、比べるための数字としてご覧ください。上場企業だけの数字で、非上場の会社は入っていません。
ページに載せていない数値も含めて、8社分を1つのExcelにまとめています。
売上高と広告費を入力すると、同じ事業タイプの会社と比べた位置と、目安の金額がわかります。
対象の8社について、売上に対してどれだけ使っているかを会社ごとに確認できます。対象8社の売上・粗利・販売促進費・従業員数・主な事業の売上構成比も収録し、規模や事業タイプで絞り込めます。
広告宣伝費に含めた勘定科目と、各社の有価証券報告書PDFへのリンクを収録しています。
ほかに、ランキング6種(金額・売上高広告費比率・広告費/売上総利益・前年比・売上高成長率・営業利益率)と、43の集客手法の言及状況(言及が多いほど濃い色)。全5シートです。数値の出典は、各社の有価証券報告書PDFへのリンクから確認できます。
形式:Excel(xlsx)対象:法人の方(無料)出典:金融庁EDINET
社内での検討・共有にお使いください。当社が集計した表やグラフを外部へ転載するときは「株式会社ルミエール集計・金融庁EDINET」と明記してください。有価証券報告書から引用した文章の権利は各社に帰属します。転載の際は、各社の有価証券報告書をご確認ください。
会社のメールアドレスをご入力いただくと、ダウンロードのリンクをすぐにお送りします。
対象:医薬品業界の上場8社(医療用医薬品・大衆薬(OTC)・健康食品のメーカー)/決算期:2025年12月期〜2026年3月期/出典:金融庁EDINET 有価証券報告書(2026年3月24日〜2026年6月25日提出)/集計:株式会社ルミエール(2026年9月24日公開)
おことわり
掲載内容の誤りにお気づきの際は、お問い合わせよりご連絡ください。
お問い合わせ
検索マーケティング・戦略PRのご相談、サービスに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。
CONTACT