調査の要点
外食業界の上場31社(ファミリーレストラン・牛丼・回転寿司・カフェ・居酒屋などの飲食チェーン)の有価証券報告書(以下、有報)を1社ずつ確認しました。広告宣伝費の金額を開示していたのは10社です。このうち、広告費と売上を同じ連結基準で比較できる5社を集計しました。売上に対する広告費は、中央値で1.96%。粗利(売上総利益)に対しては3.4%です。外食業界の中央値(1.96%)は、上場企業全体の中央値2.10%と比べて低い水準です。ただし比率を出せたのは5社で、業界全体を代表する数字ではありません。
中央値(5社/上場企業全体1,129社は2.10%)
中央値(5社)
同じ10社の前期合計比 +16.8%
金額は会社全体の広告宣伝費です。他の事業の比重が大きい会社は、その事業分も含まれます。
広告宣伝費とは別に、販売促進費を分けて開示している会社が2社あります(合計52.0億円)。金額が最も大きいのは王将フードサービスで、販売促進費は50.2億円です。広告宣伝費は12.5億円(連結)です。広告宣伝費と販売促進費のどちらに計上するかは、会社ごとに異なります。
※ 広告宣伝費の金額を開示していない会社が21社あります。有価証券報告書から金額を確認できないため、集計には含めていません。広告を実施していないという意味ではありません。会社名は資料に記載しています。上の320億円は、金額を開示していた10社の合計です。業界全体の広告費ではありません。
会社ごとの数字とランキングは、資料(Excel)にまとめています。
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同じ外食業界でも、事業タイプによって広告費の比率は変わります。中央値を算出できる社数(2社以上)がそろう事業タイプは1つです。自社に近い事業タイプの数値は、下の表でご確認ください。
| 事業タイプ | 会社数 | 割合を出せる会社 | 広告費 ÷ 売上 | 広告費 ÷ 粗利 | 粗利率 | 金額の幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大手チェーン(1,000億円以上) | 14社 | 3社 | 1.96% | 3.4% | 62.0% | 12.5億円〜81.8億円 |
| 専門業態のチェーン | 11社 | 1社 | 1.61% | 2.2% | 73.2% | 14.3億円 |
| 居酒屋・カフェ | 6社 | 1社 | 4.97% | 8.9% | 55.7% | 46.4億円 |
表1:事業タイプ別の広告宣伝費(中央値)/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
比率と粗利率は中央値です。金額の幅は、比率を算出できる会社の最小〜最大です。該当が1〜2社の事業タイプは、中央値ではなく各社の数値がそのまま反映されます。比率は費用と売上をいずれも連結基準で算出しています。基準の異なる会社は比率の集計から除外し、金額の合計には含めています。
自社と近い規模・タイプの会社の数字を、Excelで確認できます。
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| 区分 | 会社数 | 広告宣伝費を開示 | 売上高広告費比率 | 広告費/売上総利益 | 広告宣伝費の合計 | 売上の伸び(3年) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1,000億円以上 | 14社 | 5社 | 1.96% | 3.4% | 244億円 | +14.3% |
| 100億円〜1,000億円 | 17社 | 5社 | 3.29% | 5.6% | 76.3億円 | +11.6% |
売上規模で区分しています。分母が変わるため、同じ金額でも比率の見え方は変わります。比率は、広告宣伝費を開示していて同じ基準で算出できる会社の中央値です。
| 区分 | 会社数 | 広告宣伝費を開示 | 売上高広告費比率 | 広告費/売上総利益 | 広告宣伝費の合計 | 売上の伸び(3年) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| プライム | 26社 | 8社 | 1.87% | 2.8% | 236億円 | +14.3% |
| スタンダード | 5社 | 2社 | 1.96%(1社) | 9.5%(1社) | 83.6億円 | +8.3% |
上場市場ごとの中央値です。会社数が少ない区分は、1〜2社の数値がそのまま反映されます。
| 区分 | 会社数 | 広告宣伝費を開示 | 売上高広告費比率 | 広告費/売上総利益 | 広告宣伝費の合計 | 売上の伸び(3年) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 記載あり(4社) | 4社 | 2社 | 1.07%(1社) | 1.6%(1社) | 24.4億円 | +14.2% |
| 記載なし(27社) | 27社 | 8社 | 2.05% | 6.2% | 295億円 | +11.9% |
記載がないことは、その施策を実施していないことを意味しません。有価証券報告書にどこまで記載するかの違いです。
表2:売上規模・上場市場別に見た広告宣伝費/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)。比率は、広告宣伝費と同じ基準の売上高で算出できる会社の中央値です(単体のみ開示の会社は除いています)。
自社に近い会社を1社ずつ確かめられます。売上高の大きい順です。会社名から、その会社の有価証券報告書(PDF)をご覧いただけます。
| 会社名 | 事業タイプ | 売上高 | 広告宣伝費 | 売上比 | 事業の内容 |
|---|---|---|---|---|---|
| ゼンショーホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1兆2,641億円 | — | — | すき家・はま寿司などの飲食チェーン(海外も大きい) |
| すかいらーくホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 4,578億円 | — | — | ガスト・バーミヤンなどのファミリーレストラン |
| FOOD & LIFE COMPANIES | 大手チェーン(1,000億円以上) | 4,296億円 | 43.9億円 | —(持株会社)単体 | スシローの回転寿司 |
| 日本マクドナルドホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 4,166億円 | 81.8億円 | 1.96% | ハンバーガーのチェーン |
| サイゼリヤ | 大手チェーン(1,000億円以上) | 2,567億円 | — | — | イタリアンのファミリーレストラン |
| くら寿司 | 大手チェーン(1,000億円以上) | 2,451億円 | — | — | 回転寿司のチェーン |
| 吉野家ホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 2,257億円 | 48.2億円 | 2.14% | 牛丼の吉野家、うどんのはなまる |
| 松屋フーズホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,845億円 | — | — | 牛めしのチェーン |
| ロイヤルホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,655億円 | — | — | 外食・コントラクト(給食)・ホテルの複合 |
| クリエイト・レストランツ・ホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,654億円 | — | — | 商業施設のフードコートなど複数業態のレストラン |
| ドトール・日レスホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,591億円 | — | — | ドトールコーヒーと日本レストランシステム |
| 物語コーポレーション | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,239億円 | — | — | 焼肉・ラーメンなど複数業態の飲食チェーン |
| 王将フードサービス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,168億円 | 12.5億円 | 1.07% | 餃子の王将のチェーン |
| トリドールホールディングス | 大手チェーン(1,000億円以上) | 1,085億円(単体) | 57.1億円 | 5.26%単体 | 丸亀製麺のチェーン(海外も大きい) |
| ワタミ | 居酒屋・カフェ | 933億円 | 46.4億円 | 4.97% | 居酒屋と宅食の複合 |
| サンマルクホールディングス | 専門業態のチェーン | 884億円 | 14.3億円 | 1.61% | ベーカリーレストランと喫茶のチェーン |
| SRSホールディングス | 専門業態のチェーン | 764億円 | — | — | 和食さと・にぎりの徳兵衛などのチェーン |
| ハイデイ日高 | 専門業態のチェーン | 623億円 | — | — | 日高屋の中華食堂チェーン |
| コメダホールディングス | 居酒屋・カフェ | 572億円 | — | — | コメダ珈琲店のフランチャイズ |
| 木曽路 | 専門業態のチェーン | 546億円 | — | — | しゃぶしゃぶ・日本料理のチェーン |
| 壱番屋 | 専門業態のチェーン | 506億円(単体) | 11.9億円 | 2.35%単体 | カレーハウスCoCo壱番屋のチェーン |
| リンガーハット | 専門業態のチェーン | 451億円 | — | — | 長崎ちゃんぽんととんかつのチェーン |
| 力の源ホールディングス | 専門業態のチェーン | 363億円 | — | — | 一風堂のラーメンチェーン(海外も大きい) |
| ギフトホールディングス | 専門業態のチェーン | 359億円 | — | — | 町田商店などのラーメンチェーン |
| 幸楽苑 | 専門業態のチェーン | 294億円 | — | — | ラーメンのチェーン |
| ヨシックスホールディングス | 居酒屋・カフェ | 259億円 | — | — | や台ずしなどの居酒屋チェーン |
| あみやき亭 | 専門業態のチェーン | 250億円(単体) | 2.0億円 | 0.80%単体 | 焼肉のチェーン |
| エー・ピーホールディングス | 居酒屋・カフェ | 218億円 | 1.8億円 | —(持株会社)単体 | 塚田農場などの居酒屋(中食も) |
| 串カツ田中ホールディングス | 居酒屋・カフェ | 211億円 | — | — | 串カツ田中のチェーン |
| ペッパーフードサービス | 専門業態のチェーン | 146億円 | — | — | ペッパーランチ・いきなりステーキのチェーン |
| テンアライド | 居酒屋・カフェ | 121億円 | — | — | 天狗などの居酒屋チェーン |
表3:上場31社の広告宣伝費一覧/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
「単体」は、広告宣伝費を提出会社(単体)だけで開示している会社です。売上高・売上比とも単体の数値です。「—(持株会社)」は、広告宣伝費を持株会社の単体でしか開示しておらず、単体の売上で割ると事業の実態と合わないため、比率を出していない会社です。「—」は、有価証券報告書に広告宣伝費の金額の記載がなかった会社です。売上比は、表示している金額(四捨五入後)ではなく、有価証券報告書の元の金額から計算しています。会社ごとの細かい数字は資料にまとめています。
集客手段は、有価証券報告書の本文に記載があるかどうかで集計しました。下のグラフは、31社のうち何社がその言葉を記載していたかを示しています。最も多いのは新規出店・立地で31社。クーポン・割引は24社、デリバリー・宅配は17社でした。ただし有報は投資家に向けた書類です。日々の施策までは書かれないことがあります。
表4:有価証券報告書の本文に記載があった会社の数/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
分母は31社です。記載がない会社でも、その手段を実施している場合があります。ページに掲載していない項目と、43のマーケティング手法の集計結果は資料に収録しています。
同じ31社を売上の伸び(3年の年平均)で並べ、伸びが大きい10社と小さい10社で、広告投資の動きを比べました。
売上に対する広告費の比率は、伸びが大きいグループが1.61%、小さいグループが1.96%でした。前年からの増減で見ると、伸びが大きいグループが+12.1%、小さいグループが+3.2%です。
| グループ | 売上の伸び | 広告費 ÷ 売上 | 広告費 ÷ 粗利 | 広告費の前年比 | 広告宣伝費を開示 |
|---|---|---|---|---|---|
| 伸びが大きい10社 | +19.6% | 1.61% | 2.2% | +12.1% | 1社 |
| 伸びが小さい10社 | +7.0% | 1.96% | 8.9% | +3.2% | 5社 |
今回の対象では、広告費を増やした会社のほうが売上の伸びも大きくなっていました。3年の伸びを計算できる会社で比べると、増やした7社は年平均+10.3%、減らした3社は+8.3%です。ただし、売上が伸びたから広告を増やせた可能性もあります。社数も少ないため、広告が売上を伸ばしたとまでは言えません。
表5:売上の伸びが大きい会社と小さい会社の比較/出所:金融庁EDINET 有価証券報告書(株式会社ルミエール集計)
グループは売上の伸びだけで分けています。会社の優劣を示すものではありません。広告宣伝費を開示しているかどうかは問いません。売上の伸びは各10社の中央値、売上に対する割合と粗利に対する割合は、同じ基準で比べられる1社/3社、広告費の前年比は1社/5社の中央値です。
有価証券報告書の本文から、集客に関する記載を2社分引用します。広告が売上を伸ばした根拠ではありません。
広告費の増減を社内で検討するとき、代理店や取引先と予算を相談するときにお使いください。自社の数値を入力すると、同じ事業タイプの上場企業の中央値と比べた位置が表示されます。金額は万円単位で入力してください(5億円なら 50000)。入力内容はブラウザ内でのみ計算し、外部には送信されません。
目安は、同じ事業タイプの上場企業の中央値に自社の売上高・粗利をかけた金額です。適正な広告費ではなく、比べるための数字としてご覧ください。上場企業だけの数字で、非上場の会社は入っていません。
ページに載せていない数値も含めて、31社分を1つのExcelにまとめています。
売上高と広告費を入力すると、同じ事業タイプの会社と比べた位置と、目安の金額がわかります。
広告宣伝費を開示している10社について、売上に対してどれだけ使っているかを会社ごとに確認できます。対象31社の売上・粗利・販売促進費・従業員数・主な事業の売上構成比も収録し、規模や事業タイプで絞り込めます。
広告宣伝費に含めた勘定科目と、各社の有価証券報告書PDFへのリンクを収録しています。
ほかに、ランキング6種(金額・売上高広告費比率・広告費/売上総利益・前年比・売上高成長率・営業利益率)と、43の集客手法の言及状況(言及が多いほど濃い色)。全5シートです。数値の出典は、各社の有価証券報告書PDFへのリンクから確認できます。
形式:Excel(xlsx)対象:法人の方(無料)出典:金融庁EDINET
社内での検討・共有にお使いください。当社が集計した表やグラフを外部へ転載するときは「株式会社ルミエール集計・金融庁EDINET」と明記してください。有価証券報告書から引用した文章の権利は各社に帰属します。転載の際は、各社の有価証券報告書をご確認ください。
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対象:外食業界の上場31社(ファミリーレストラン・牛丼・回転寿司・カフェ・居酒屋などの飲食チェーン)/決算期:2025年6月期〜2026年3月期/出典:金融庁EDINET 有価証券報告書(2025年9月25日〜2026年6月29日提出)/集計:株式会社ルミエール(2026年9月24日公開)
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